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東下り第三回

(原文)渡守、「はや舟に乗れ、日も暮れぬ」といふに、乗りて渡らんとするに、皆人物わびしくて、京に思ふ人なきにしもあらず。
(現代語訳)「早く舟に乗れ、日もくれてしまう」と言うので、舟に乗って、渡ろうとすると、皆、なんとなく悲しくて、それぞれ都に思う人がいないわけではない。
(原文)さるをりしも、白き鳥の嘴と脚と赤き、鴫の大きさなる、水のうへに遊びつつ魚をくふ。
(現代語訳)丁度その時、白い鳥で、くちばしと脚とが赤く、鴫の大きさの鳥が、水の上で遊びながら、魚を食べている。
(原文)京には見えぬ鳥なれば、皆人見知らず。
(現代語訳)都では見ることのない鳥なので、みんな何の鳥かわからない。
(原文)渡守に問ひければ、「これなん宮こどり」といふをききて、 (現代語訳)渡守に何の鳥か尋ねると、「これが都鳥なんだよ」と答えるのを聞いて、
(原文)名にし負はばいざ事とはむ宮こ鳥わが思ふ人はありやなしやと。 (現代語訳)都という名前を持っているならば、さあ尋ねよう。私のいとしく思っている女は元気なのか、どうなのか。
(原文)とよめりければ、舟こぞりて泣きにけり。
(現代語訳)と詠んだので、舟の人はみんな泣いてしまった。
解説この男は都への未練がかいま見える。なぜ、都を離れ、東国へ行かなくてはいけなかったのか?それは、男が「身をえうなき物に思ひなし」たからである。それは、二条の后高子との事件、それに関連しての失脚が考えられる。つまり、都を愛しながら都を離れなければならない絶望感が漂っている。また、男の一行は旅慣れていない高貴な身分であるので、東国の道を知っている者がいないので、道を間違えてしまうのである。