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芥川第一回目

(原文)「むかし、をとこありけり。女のえ得まじかりけるを、年を経てよばひわたりけるを、からうじて盗み出でて、いと暗きに来けり。」
(現代語訳)昔、男がいた。高貴な女でなかなか、手に入れることができないのを、何年にもわたって、求婚し続けてきたが、やっとのことで、女を盗み出して、たいそう暗い夜に女を連れ出してきた。
(原文)「芥川といふ河を率ていきければ、草の上におきたりける露を、「かれは何ぞ」となんをとこに問ひける。」
(現代語訳)芥川という川のほとりを連れていくと、草の上に光る露がおいてあるのを見て、「あれは何ですか。」と男に尋ねた。
(原文)「行くさき多く夜もふけにければ、鬼ある所とも知らで、神さへいといみじう鳴り、雨もいたう降りければ、あばらなる蔵に、女をば奥におし入れて、をとこ弓やなぐひを負ひて戸口に居り。」
(現代語訳)行く先は、まだ遠く、夜も更けてしまったので、そこが鬼のいる所とも知らないで、雷までもひどく鳴り、雨もたいそう降ってきたので、がらんとした倉の中に女を奥に押し込んで、男は弓を持ち、やなぐいを背負って、戸口に立って、女を守っていた。
☆女は草葉の露を見て、「かれはなにぞ」と問うたということは、女は露を見たことがない。つまり、深窓に育った高貴な女性であり、ういういしさを表している。また、夜露の降りた風景に不安を覚えるということから、この後の女のはかない運命を暗示している。