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筒井筒第1回目

(原文)「むかし、田舎わたらひしける人の子ども、井のもとに出でてあそびけるを、大人になりにければ、をとこも女も恥ぢかはしてありけれど、をとこはこの女を得めと思ふ。」
(現代語訳)昔、田舎まわりの行商をしていた人の子供が、井戸のまわりに出ては、遊んでいたが、大人になったので、男も女も、互いに恥ずかしがっていたが、(あまり会わずにいたということ)男は、この女を妻に得たいと思った。
(原文)「女はこのをとこをと思ひつつ、親のあはすれども、聞かでなむありける。」
(現代語訳)女はこの男をと思いながら、親が(他の男と)結婚させようとしたけれども、(女は)聞かないでいた。
(原文)「さて、この隣のをとこのもとよりかくなむ。」
(現代語訳)そして、この隣の男のところから、次のように歌を詠んで送ってきた。
(原文)「筒井つの井筒にかけしまろがたけ過ぎにけらしな妹見ざるまに」
  • 筒つの井筒→筒井戸の井戸枠。筒井つのは(つつゐつつゐの)のつゐの二つの音が省略された形。「筒井筒井の井筒」と口唱されている間に、「筒井つの井筒」となった。「筒井」は丸形の井戸。「井筒」は井戸枠で子供などが井戸に落ちない防ぎのために造った。
  • かけし→はかりくらべた。「かく」には他に「誓う」という意味があるので、井筒の高さを過ぎたら結婚しようという意味を含んでいる。
  • まろ→私。
  • けらしな→「けらし」は「けるらし」で「らし」は根拠のある推定。「な」は詠嘆。
  • 妹→あなた。親しい女性に対して使う。ここは倒置になっていて、本来は「妹見ざるまに過ぎにけらしな」
  • (現代語訳)幼いころ、井戸枠と丈くらべをしていた私の背丈も井戸を越したようです。あなたと長く会わないでいるうちに。
    (原文)「女返し、くらべこし振分髪も肩過ぎぬ君ならずして誰かあぐべき」
    (現代語訳)女は返事をした、あなたと長さを比べてきた振分髪も今や肩を過ぎました。あなた以外の誰がこの髪を結い上げてくれるのでしょうか。
    (原文)「など、いひいひて、つひに本意のごとくあひにけり。」
    (現代語訳)など、互いに歌のやりとりをして、とうとう、かねてからの望みどおり結婚してしまった。